具体的にどう対処するするべきかという相談をよく受ける。
質問に対する答えはYes。
あなたがお父さん、お母さんなら、
学校が来校を拒む法的な理由はありません。
ただし、DV防止法による保護命令で子どもへの接近禁止命令や、
家裁の審判の決定で、来校が具体的に制約されていたりした場合には、
学校側がそれを理由に拒むことはあるかもしれません。
学校側が別居親の来校を拒んだり、面談を拒んだりすることは少なくありません。
多くの場合、学校が別居親を排除する理由は、
親権者じゃないから、保護者じゃないから、というものです。
よくわかっていない臨床心理士なんかは、「日本は単独親権だから」と
言って、こういう学校や園の措置を容認することがありますが、これは間違いです。
親権者でなくても、親ではあることは、民法上規定されています。
親権者でない親が学校に来てはならない、なんて法律もありません。
たしかに、親権者は監護教育の権限があると民法で規定されていますが、
だからといって、子の親として教育にかかわることは人権なので、
親権者だからといって、他方親の権利を自分の考え一つで否定すれば人権侵害になります。
保護者というのも排除の根拠としては適切とは言えません。
学校で保護者というのは、子どもの住民票の住所に就学通知を送って、
それを受け取って自ら保護者と名乗り出た者を保護者とみなしているに
すぎないので、保護者が親権者であるかどうか、まして親かどうかすら学校側は
把握しているわけではありません。
本当のところはどうなのかなんて確かめたりしません。
学校としては、誰でもいいから子どもを学校に来させてくれる人を
「保護者」とみなしているだけです。
園の場合は、申請を出した人を保護者としているだけです。
これが顕著な例は、事実婚で夫婦になった父親が保護者になる例です。
親権者じゃないから保護者じゃない、なんてことになったら、
非婚の父は保護者にはなれませんが、だれもそんな扱いはしていません。
夫婦生活が破たんしていなければ、同居の有無もたいして関係ありません。
つまり、親権者じゃない、保護者じゃない、という理由で学校や園が
排除するのは、ほんとのところ法的根拠としては不適切です。
たしかに学校教育法は、保護者を親権者と定めています。
しかし、それは民法の範囲で保護者の義務を定めているのであって、
親権者じゃない親をそれを理由に排除する根拠にはなりません。
つまり、「あなたは保護者じゃないでしょう」と学校が言ったばあいには、
「私は保護者なので、きちんと他の親と同じ扱いをしてください」と
答えるのが正解で、「そうはいっても……」と口ごもると
揚げ足を取られることになります。
「親権者ではありませんが、保護者です」と言い切ってください。
それに学校が疑問を挟めば、
どうして親でもないあなたが、保護者かどうかなんて決めるのですか、
と聞いてみればいいでしょう。
むしろ、子どもと住民票が同じでない親が保護者として届け出た際に、
それを登録するシステムが学校や行政側にないことが問題なので、
暫定的な措置であれ、
そのことを実現していくというのが、やり取りの中では重要です。
では、別居親はもっと学校に行くべきでしょうか?
それはその通りで、どんどん行くべきです。
しかし、学校は教育の場であって、子どもと過ごす場ではありません。
行くというのも、他の親と同じ程度に教育にかかわるというのが、
学校が本来想定していることです。
特に、学校側は、法律のことなんかちっともわかってないので、
別居親の人権を不当に侵害することなんて、何の疑問も持っていません。
そこで学校長ともめて、押し問答になったり、騒ぎになったりすると、
今度は庁舎管理権や住居侵入罪を盾に別居親を排除にかかります。
こうなると警察沙汰になりかねません。
(ただし、それで逮捕されたという話は聞いたことがありません)
つまり、どんどん子どもの学校に別居親は行くべきですが、
その態様については十分気を付けておく必要があるということになります。(つづく)
*このコーナーでは、よくある質問に答えます。
質問もどんどん受け付けています。
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