目黒区で3月、5歳の女児が虐待によって亡くなったことが世間を騒がせ、児童相談所の介入強化や、里親・特別養子縁組制度が議論されているという。この「子殺し」事件は「両親」によるものとされているが、実際は母親とその再婚相手によるものだ。父親は別にいて、殺された結愛さんは「前のパパが良かった」と書き残している。つまり自分の父を「前のパパ」としか呼べなかったのだ。
子殺しに歯止めがかからないまでにこの「家族」が孤立したのは、戸籍制度に厳しく限定された家族関係の中でしか当事者たちが振る舞えなかったからだ。家への所属を明確にし(両属を許さず)、親子関係を断つために単独親権制度が機能し、母による代諾養子縁組で再婚相手は「父」となった。「個人の尊厳と両性の平等」はどこふく風、同姓の父母のもとにいることこそが「子どもの福祉」だったのだ。
娘を同じく再婚相手の養子に入れられ、「パパが二人いて困る」とぼやく娘にぼくは、「充はパパで、〇〇さんは新しいパパ」と説明した。(宗像 充 第14期「『反改憲』運動通信」No.2 、2018.7.30)
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